治療の流れ
事前説明および同意
再生医療治療を行うにあたって、治療に応じた治療の目的、安全性やリスクなど医師よりご説明します。
患者さまと医師、両者の合意のもと、再生医療治療を行います。
適合及び事前感染症等検査
当院にて、全身状態やこれまでかかったご病気、手術などについてお尋ねします。
治療に応じた選択基準のために検査をお受けいただき、医師より適合判定を致します。
「適」となる患者さまの場合、その後、血液検査により、健康状態及びあらかじめ決められたウイルスなどへの感染の有無を確認します。
ウイルスなどへの感染が疑われる方は、細胞培養施設内に持ち込むことができないため、現在のところ治療をお受けいただくことができません。
血液検査にて異常が見つかった場合、再度、検査を受けていただく場合がございます。
採取
採取は、当院の専門の医師が行います。
培養・加工
採取後は、厳格な品質管理のもと、専門の治療に必要な細胞数まで細胞を拡大培養します。
細胞の投与
培養・増殖した細胞を投与します。
フォローアップ検診(予後検診)
治療に応じた、予後検査を行うため、患者さまにご来院いただきます。
患者さまにおいて治療における有効性、安全性などを確認いたします。
幹細胞培養上清液
近年、脂肪組織に由来する間葉系幹細胞についてはその特性に関する研究が盛んに行われており「ヒト脂肪由来幹細胞培養上清」に含まれる、各種の成長因子群、生理活性物質や細胞外たんばく質についても様々な研究成果が報告されています。
培養上清液とは
幹細胞を培養し、遠心分離し、細胞や不純物を取り除いた上澄みの部分が「上清液」です。
この上清液にはサイトカインが豊富に含まれています。
サイトカインとは幹細胞を培養するときに、幹細胞が分泌する成分のことです。
この成分は、タンパク質成分が含まれており、そこにはサイトカインと呼ばれる細胞活性のカギとなる情報伝達物質が豊富に含まれています。
サイトカインは、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たし、老化などにより衰えた細胞の回復を後押しするため、さまざまな効果が期待できます。
自己幹細胞由来サイトカイン(成長因子)は化学的合成法(アミノ酸を使用したサイトカインの合成や遺伝子組替え方法)で生産されたサイトカインと比較すると、生体内本来のサイトカインであることから適合性に優れている利点があります。
EGF (上皮細胞増殖因子) | ・表皮細胞を増殖する成長因子 ・肌のターンオーバーを促進 |
βFGF (塩基性繊維芽細胞増殖因子) | ・血管内皮細胞の増殖と血管新生を促す ・コラーゲンを産生する繊維芽細胞の増殖を促す 成長因子 ・組織修復や神経保護作用 |
HGF (肝細胞増殖因子) | ・肝細胞の増殖を促す成長因子 ・正常な肝細胞を増やす事で肝硬変や慢性肝炎を防ぐ |
TGF-b (トランスフォーミング 増殖因子) | ・組織発生、細胞分化、胚発育において重要な役割を果たす。 ・抗炎症効果がある。 |
VEGF (血管内皮細胞増殖因子) | ・新生血管の形成に作用する。 |
PDGF (血小板由来増殖因子) | ・損傷を受けた皮膚細胞の再生を促進する。 |
GM-CSF (顆粒球単球コロニー増殖因子) | ・顆粒球、単球マクロファージの増殖誘導因子 |
点滴による投与
点滴などの溶液に培養上清液を入れて、ゆっくりと静脈内に投与します。
培養上清液に含まれる多種多様のサイトカインが、体内の損傷している部位の細胞を活性化し、様々な老化現象を改善することが期待されます。