再生医療とは
飛躍的な発展が予想される再生医療
再生医療とは、幹細胞等を用いて、臓器や組織の欠損や機能障害・不全に対し、それらの臓器や組織を再生し、失われた人体機能の回復を目指す医療です。既存の医薬品では治療が難しいものや、治療法が確立されていない疾患に対して新たな治療法となる可能性があります。
特にiPS細胞は、さまざまな器官・細胞へと分化できる多能性と、ほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持ち、再生医療の可能性を飛躍的に拡大させることが期待されています。
近年、大きく平均寿命は延びましたが、細胞の老化が原因となって引き起こされる慢性疾患も増えてきており、残念なことに根治できる治療法が存在しないことがあるのも事実です。今現在も、世界中で多くの患者さんが慢性疾患やその他の治療の難しい病に苦しんでいます。
iPS細胞等を活用した再生医薬品の開発・製造が進めば、人体の臓器や組織における細胞の老化が原因の疾患について、将来的に、より根本的な原因に直接作用できる治療や、高齢社会においてQOLの向上に貢献できることが期待されています。
当院では細胞提供による健康被害が万一生じた場合に備えて、医師賠償責任保険に加入しています。
幹細胞培養上清液
近年、脂肪組織に由来する間葉系幹細胞についてはその特性に関する研究が盛んに行われており「ヒト脂肪由来幹細胞培養上清」に含まれる、各種の成長因子群、生理活性物質や細胞外たんばく質についても様々な研究成果が報告されています。
培養上清液とは
幹細胞を培養し、遠心分離し、細胞や不純物を取り除いた上澄みの部分が「上清液」です。
この上清液にはサイトカインが豊富に含まれています。
サイトカインとは幹細胞を培養するときに、幹細胞が分泌する成分のことです。
この成分は、タンパク質成分が含まれており、そこにはサイトカインと呼ばれる細胞活性のカギとなる情報伝達物質が豊富に含まれています。
サイトカインは、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たし、老化などにより衰えた細胞の回復を後押しするため、さまざまな効果が期待できます。
自己幹細胞由来サイトカイン(成長因子)は化学的合成法(アミノ酸を使用したサイトカインの合成や遺伝子組替え方法)で生産されたサイトカインと比較すると、生体内本来のサイトカインであることから適合性に優れている利点があります。
EGF (上皮細胞増殖因子) | ・表皮細胞を増殖する成長因子 ・肌のターンオーバーを促進 |
βFGF (塩基性繊維芽細胞増殖因子) | ・血管内皮細胞の増殖と血管新生を促す ・コラーゲンを産生する繊維芽細胞の増殖を促す 成長因子 ・組織修復や神経保護作用 |
HGF (肝細胞増殖因子) | ・肝細胞の増殖を促す成長因子 ・正常な肝細胞を増やす事で肝硬変や慢性肝炎を防ぐ |
TGF-b (トランスフォーミング 増殖因子) | ・組織発生、細胞分化、胚発育において重要な役割を果たす。 ・抗炎症効果がある。 |
VEGF (血管内皮細胞増殖因子) | ・新生血管の形成に作用する。 |
PDGF (血小板由来増殖因子) | ・損傷を受けた皮膚細胞の再生を促進する。 |
GM-CSF (顆粒球単球コロニー増殖因子) | ・顆粒球、単球マクロファージの増殖誘導因子 |
点滴による投与
点滴などの溶液に培養上清液を入れて、ゆっくりと静脈内に投与します。
培養上清液に含まれる多種多様のサイトカインが、体内の損傷している部位の細胞を活性化し、様々な老化現象を改善することが期待されます。